Overview
勤務先ラボのボスとの採用Zoom面接のときに「今パンデミックもあって家賃下がってるからNYCに引っ越すには最高のタイミングだよ!」と言われて少し期待していたものの, ハウジングマーケットはコロナ前の水準に戻っているではありませんか。9月初めの新学期に合わせて, ワクチン接種でパンデミックも一旦落ち着いたように思われたNYCに, the Delta variantの脅威にもかかわらず新入学生, 新社会人, 一旦NYCを脱出していた人たちが烏合の衆で競争は激化していました。そんな中,クレジットスコアゼロの外国人がリモートで部屋探しをするのは中々大変だったので, その過程を振り返りつつ記したいと思います。
ルームハント出陣前の準備
自分の理想条件を考える:
まず自分がどんなところに住みたいか考えてみました。
- 20代男性1人
- 予算: $1000-1400/月 (電気ガス水道含む)
- 部屋の種類: 自分のベッドルームは欲しい。バス・トイレ・キッチンはシェアでOK。
- エリア: 理想はラボ(マンハッタンのKips Bay)から徒歩圏内。大学の無料シャトルのルート上も可。
- アメニティ: ランドリーは建物内にあって欲しい。
- その他: Covid-19ワクチン済み, Not 4/20 friendly, no smoking(とにかく嫌い), no cats(アレルギー)
※4/20, 420等はマリファナの隠語。
まずは上のような条件で探し始めることにしました。ニューヨーク市, とりわけマンハッタンでは家賃が泣きたくなるほど高いので, 自分1人でいわゆるワンルームアパートであるStudioを借りるのも厳しく, 複数ベッドルームのあるアパートを何人かとシェアする予定で取り組みました。学生のときボストンに1年間滞在したときも3人で2ベッドルームアパートをシェア(1人はリビングを本棚で仕切ってベッドルーム化して使っていた)していて楽しかったので, 今回も良いルームメイトに巡り会えたらと思っていました。現地の大学院生やポスドクの友人たちからも「研究生活は大変だし, ニューヨークはintenseな街で住んでいると時々とても孤独な気持ちになるから, ルームメイトと住んだ方がいいよ」という意味深な(?)アドバイスももらいました。
アパートメントシェアのPros & Cons
若者が米国の家賃が高いエリアに住む場合はシェア以外の選択肢はほぼないケースが多いと思いますが, Studioなどに1人で住む選択肢がある場合もあるでしょう。
Pros
- 一人用のアパートより大きいキッチンがありがち
- より安くより良い(立地とかアメニティとか)とこに住めるかも
- 自分のクレジットスコアで借りれないとこにも住めるかも
- さみしくない☆
Cons
- 誰かがCovidもらってきたら詰む
- トイレやシャワーの時間がかぶることもあるだろう
- 人間関係トラブルもありうる
予算の決め方
額面の30%がセオリー?
そもそも収入の何%を家賃に使うべきでなのでしょうか。それぞれのライフスタイルに合わせて考えるべきですが, 一つの目安として額面の30%を基準にしてみるとよいそうです。家にいる時間が長く, よりアメニティ等にお金をかけたい人は30%+α, 逆に家は寝に帰るだけで外で過ごす時間が長い人・もっと遊びのお金が欲しい人は30%-αを予算とするのが良いのではないでしょうか。この記事が参考になるかもしれません。ちなみに自分は実験系のラボで働くこともあり, できるだけ通勤負担の少なさを優先しました。その結果, 自ずと家賃は高くなり30%を有意に超えました。他で節約頑張ります…汗。
手取りを計算してみる
オファーレターには額面の年棒しか書いておらず, 実際月々自分が自由に使えるお金がいくらあるのかわかりませんでした。それにアメリカは所得税が連邦政府と州それぞれで収めないといけないとかなんとかで日本とは勝手が違うので素人には厳しかったのです。そんなとき, 以下のtax calculatorのおかげで大体の手取りを知ることができました。
実際にルームハントに使った方法と経験談
現地の友人と一緒に探した
先日久しぶりにフェイスブックを更新し, 大学卒業したこと&アメリカに行くことになったと投稿したところ, 学生時代に参加した学生会議で知り合った友人が「自分も8月からニューヨークに引っ越すよ」と連絡をくれました。その話の流れで, アパートメント探しの仲間に入れようかと誘ってくれました。彼は地元のカリフォルニアにいて, 7月末にニューヨークへ飛んで気になるアパートを内見し, 8月頭からの正式に引っ越す予定とのことでした。現地で内見してくれることもありがたいですし, 何よりすでにお互いのことを知っている人と住むのはとても安心なので, ぜひとお願いしました。しかし, 問題点として彼はすでに彼の別の友人(自分は面識ない)と2ベッドルームのアパートメントハントを探しており, 自分が入れるのはあくまで良い3ベッドルームアパートが出てきたらという条件でした。急遽3人でビデオ通話をしてお互いの現状をシェアしましたが, 彼らの予算は$1600ほどで自分より高く, 求めているものも自分とは少し違うのかなという感触でした。友人からも, 「正直良い3ベッドルームが見つかる保証もないから, 自分1人でもルームハントも継続してね」と言われました。友人が実際現地入りした後は, 「今ニューヨークのハウジング市場は競争がえげつない。良いところが中々見つからないし, 見つかってもすぐに契約されてなくなっていくよ。」と連絡がきて, 自分も本腰を入れないとまずいと思いました。結局, やはり彼らは良い2人用アパートに入居を決め, 自分の部屋探しは振り出しに戻りました。元々予算が違ったし, 自分はリモートで良さげなアパートを見つけてはリンクを送りつけることぐらいでしか協力ができていなかったので仕方なかったです。声をかけてくれたことに感謝。
物件検索Webサイト(Zillow, Streateasy, Apartments.com)
URL: Zillow, Streeteasy, Apartments.com
上記のWebサイトはいずれも, 賃貸アパート物件を探すのに特化したサービスでエリア, 予算, アメニティなど様々な条件をかけて検索することができ, オープンハウスやバーチャルツアーなどをボタンひとつで申し込むことができます。基本的には不動産屋などから賃貸契約を結ぶ形になるので, ルームメイトがすでにいて一緒にアパートメントハントを行う時(先ほどの友人との例)や1人でStudioなどを契約したい時などにとても便利です。自分の場合は, 友人との話がなくなってからは”誰かがすでに契約しているアパートの空き部屋を探す”戦法に完全にシフトしたので後半はあまり使っていませんでした。しかし, これらのサイトであれこれ検索をかけるうちに土地勘や相場感覚がついたので, 色々調べてみるのはおすすめです。
ルームメイトマッチングWebサービス(Roomi, Spareroom)
これらのサービス(Webサイト, アプリ)は一緒にアパートメントを探すルームメイトを見つけたり, 個人が出品している空き部屋を探すことができるサービスです。
Roomi
URL: https://roomiapp.com
Roomiでは1.ルームメイトマッチング, 2.空き部屋を探す, 3.自分の空き部屋を出品することができます。いずれの場合もまずプロフィールを作りますが, 予算等の基本的な情報はもちろん掃除の頻度, タバコを吸うか, ペットOKかなどマッチングに重要な情報を選択式で入力します。このテンプレの質問は相手方のことを知る上でもとても便利でした。
プロフィールを作れば後はルームメイト/空き部屋探しを開始できるのですが, もう一つ考えておくものとしてアカウントのverificationがあります。25ドルほど(正確な金額忘れた)支払ってパスポートのコピーを提出するとverifiedユーザーとしてプロフィールの左下に黄色いマークが付きます。その後さらに25ドルほど払ってbackground checkを行うと, 緑色のマークがつくのですがこの機能はアメリカ国外では利用できないみたいです。VPNを使ってアメリカのIPアドレスを手に入れれば可能です。Background checkは第三者機関が犯罪歴などないか調べてくれる機能のようです。verificationもbackground checkも詐欺予防に100%の効果があるとは思えませんが, 少なくとも25ドルないし50ドルを払ってサービスを利用している証拠にはなるので一定のフィルターとして機能しているようには感じました。自分はverificationまで行いましたがbackground checkは行いませんでした。
準備ができたらいよいよルームメイト/空き部屋探しです。ルームメイトマッチングは某出会い系アプリのように出てくる人の写真をひたすら右へ左へスワイプするのですが, ルームメイトを見つけたのちに家探しを一緒にするのは二度手間に思えたのでこれはやりませんでした。空き部屋探しは, それぞれ現在アパートを借りている人が「ルームメイトが1人急遽実家に帰ることになったので, 1人募集しています」といった容量で空き部屋を出品しています。自分は条件に合うものに片っ端からメッセージを送っていきました。合計28件送りましたが返事があったのは, 4件でそのうち2件は「もう実は見つかったから募集してないよ」という内容でした(わざわざ返信してくれただけでもありがたいが…)。1件は「いつ見にこれる?」と来たので「実はまだ日本にいてNYCに着くのは8月末だからビデオ通話で見せてくれない?」と頼むと「今かなりの数の問い合わせがきてるから8月末までこの部屋が残ってる可能性は低いかな。」と言われ断れました。残りの一つは長文でとても良い返事をくれて電話番号まで教えてくれたのですが, その後返信しても1週間以上音沙汰なく, Skypeで電話してもでてくれず, 2週間ほど経とうとしたとき一言「もう別の人に決まったよ。ちなみに非通知の番号にはでない主義なんだ。」と言われました。実は日本はSkypeでCaller Identificationができない数少ない国の一つで, そのため一般の電話をかけるときは常にNo Caller ID (非通知)と表示されてしまいます。Skypeに問い合わせたところ, できない理由はキャリア会社が許してないからとのことです(docomoがんばって)。リモートでの部屋探しの難しさを突きつけられました。部屋を貸す側にとってもこれだけ売り手市場の中で本当に来るのかもわからない外国にいる直接会えない人にわざわざ貸すくらいなら, 実際に対面で会って話せる人に貸すに決まってます。つらい。
Spareroom
こちらもSpareroomもRoomi同様に個人が出品する空き部屋を探すことができるサービスですがキャッシュポイントが異なり, 出品されて1週間以内の物件に連絡できる権利は$25で買わなければならない(有効期間3ヶ月)という仕組みでした。正直時期的にもかなり追い込まれていたので, 課金してみることにしました。ここでは26件コンタクトを取ってみましたが, 返信は3件で1件はもう募集してませんというお知らせ, 1件は内見に来れる時期を尋ねてくれましたがビデオ通話を申し込んだら無視されました。また詐欺案件も一つあり, メールで話そうと誘導されたのち最終的にはビデオ通話すらする前にデポジットを要求されました。この時点で詐欺だろうなと思い友人に相談したところ良くある書き方の文章らしく, せっかくなのでここにも晒しておきます。皆さん詐欺には気をつけましょう。基本的に内見して直接会ってアパートの実体も確認していない状態でお金を払うのは絶対にやめるべきだと思います。
Facebook Group
URL: https://www.facebook.com/groups/838592299562056/?ref=share
これも部屋探しでは最もメジャーな方法の一つです。街や大学ごと(といってもその大学所属でない人もいっぱいいますが)に複数のhousing groupが存在し, 出品したり, 出品者にコンタクトを取ったりすることができます。詐欺もそこそこ多いと聞くので注意が必要です。自分はNYCやNYU関連のグループを7つほど見つけたので参加し, 計10件ほどコンタクトを取ってみましたがあまり良い感触はありませんでした。
家探しの辛さも佳境を迎えたとき, ついに自分自身を出品してみました。自己紹介文と共に「空き部屋もしくはルームメイトを探しています。興味あったら連絡ください。」と書いてみました。その結果, 詐欺案件がたくさんメッセンジャーに届きました笑。しかし, その中に「自分も部屋探しをしてるんだ〜」というルームメイト候補のメッセージも何件かきて, その中で一番しっかり文章を書いてくれてた人に「今すぐビデオ通話できる?」ときいてみたら快く応じてくれ1時間ほど話すことができました。スペイン人の大学院生で, カリフォルニの大学を5月卒業したけどパンデミックだったので最後のセメスターからはスペインに帰ってて, 9月からNYUの情報セキュリティの院に進学するがまだ家が決まっていないとのことでした。それなら一緒に探そうかという話になりましたが, その数時間後に後述の部屋が決まったので, 彼には全力で謝ることになりました。
Craigslist
言わずと知れた匿名掲示板で, 詐欺案件が多いことでも有名なので正直期待していなかったのですが, 実は今回このcraigslistを通して家が決まりました。募集には「自分は医療関係者で仕事が忙しいのでできれば同じような医療従事者か医療系学生, 家にパーティを持ち込まないような人を募集します。」とあり, 立地は完璧(通勤時間徒歩5分), 自分専用のバスルームあり, ビルには住居者専用のジム(24時間オープン), メディアルームやゲームルームなどアメニティも充実, それであって自分の予算範囲内という素晴らしい物件でした。おそらく詐欺だろうと思い全く期待せずに一応メールを送ったところ, 返事があり, さらに物件と本人についての詳しい情報を教えてくれました。こちらのビデオ通話の誘いも即答で快諾してくれたので, この辺りでもしかすると詐欺ではない可能性があるかもしれないと考え始めました。医療従事者の検索サイトでもその人の名前があり, またhealthcare providerの登録番号も検索したらデータベースにでてきました。詳しい物件の情報から, どの建物か見当がついたのでその物件のホームページを調べ, 内観の写真や建物周辺のストリートビューを念入りに確認してビデオ通話に臨みました。
ビデオ通話ではホームページやその他のソースでの写真と合致する顔がでてきました。アパート全体をスマホ越しに案内してもらいましたが, 窓から見える景色も自分の下調べと全く矛盾がありませんでした。コロナやワクチンについても話しましたが, 当然ワクチン接種済みで科学的な議論ができる人でとても安心しました。一通り案内してもらった後に, 単刀直入に一番気になっていることをきいてみました。「職場に近いし, あなたもとてもいい人そうだし, 部屋も建物もとてもいいし, できればぜひ住ませていただきたいのですが, 立地や建物の質を考え時にどうしても気になってるのは, too good to be trueじゃないかということです。建物のホームページに出てる値段をみても僕が払う予定の家賃の2倍じゃ到底借りれない場所ですし…」
そこで彼の返事は以下の通りでした。
「自分はこの建物に長く住んでて今のリースも数年前に結んだから今出てる家賃よりも安く借りれてる。しかも, 自分は家賃収入で稼ぎたいわけじゃないから, どちらかと言うとちゃんと共有スペースを綺麗に使ってくれて問題を起こさない人に貸したいと思ってる。実を言うと家賃も自分が大体3分の2払って, ルームメイトから3分の1もらう計算だよ。同業者だと話も通じるしいいんだよね。以前のルームメイトは歯学生だったけど何も問題を起こさずお互い快適に過ごして, 5月に卒業して帰っていったよ。君はパーティするためにNYCに来るんじゃなくて研究という目的を持っているし, メディカルスクール出てるし, その点信頼できる。実はこの部屋の募集に応募は数百件あったんだけど, 返信したのは君だけだよ。ちゃんと自己紹介に詳しく自分のバックグラウンドやニューヨークに来る目的を書いてくれていたからね。」
メールで書いた自己紹介を見てくれていたみたいでうれしかったです。
その場でオファーをくれたので快諾し, 無事家探しが終了しました。「8月末に着くなら数日分の家賃は気にしないから, 9月分とデポジット(1ヶ月分)を到着した日は疲れてるだろうから次の日くらいにくれたらいいよ」とのことで前払いも求められませんでした。あまりに良い条件なので今でも詐欺やそのほかヤバい案件の可能性は残っていると思っていますが, いざとなれば逃げだせばよいかなと思っています。ひとまずこれにて数ヶ月続いた部屋探しの旅は無事終了しました。
その他の有効な手段
以上が自分が利用したサービス, Webサイトでの体験でしたが, 家探しの手段は他にも色々あるようです。以下にいくつかの例を紹介します。
大学所有の物件
学生やポスドク, 教職員など応募できる人にも制限があり, おそらく普通に探すより安く良い立地のところに住めるのではと思います。自分の場合, 問い合わせたところ自分のポジションではeligibilityがないとのことで今回は潔く諦めました。
日系掲示板
実は学生時代にボストンで部屋探しをしたときは, 日本人掲示板を通じて引っ越しする日本人の方の引き継ぎとして良いシェアアパートに入ることができました。ニューヨークの日本語掲示板ではあまり個人のルーム募集は見当たらず, 下記の不動産屋さんの投稿がちらほらといった印象でした。しかし, ボストンでの経験上良い親日な物件が見つかる可能性もこともあると思うので, 住む街の日系掲示板をチェックしてみることもおすすめします。
日系不動産
正直, 英語が苦手な方向けに少し割高(?)で物件を紹介しているイメージであまり良い印象を持ちませんでした。英語の読み書きが全くできない状態かつお金に余裕があれば利用してみる価値大だと思いますが, 基本的なコミュニケーションが取れる方は英語で探した方が良い物件に巡り会える可能性が高いと想像します。間違っていたらごめんなさい。
おまけ
クレジットスコアについて
アメリカでは自分でアパートの賃貸契約を結ぶ場合, クレジットスコアの基準を満たすことを求められることが多いようです。初めて引っ越す人は当然0だと思うので, 他の人からのsubleaseを探し, アメリカでクレジットカードを利用して信用を高めていくのがよい(それしかない?)と思います。自分もまだ全く詳しくないのですが, 概要が書かれた記事あったので気になる人は参考にしてみてください。
Take Home Message
- リモート家探しはツラい
- アパートメントシェアはメリットたくさん
- 今どきさまざまなサービスがあるので使いこなそう
- 最初に良い返事が来ても後で無視されたり話がまとまらないことはよくある。一喜一憂せず気になる物件があればどんどん連絡しよう。
- 詐欺に気をつけよう!現地見学・ビデオ通話を申込もう!先にお金を払わない!
- 急いては事を仕損じる。納得するまで探そう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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